
2016/07/22/ 下野新聞掲載記事
8月7日は「鼻の日」
腫瘍見つかるケースも
長引く鼻血、鼻づまり注意
放置せず専門医受診を
身近に起こりやすい鼻血や鼻づまりだが、長引く場合は注意が必要だ。鼻の中に腫瘍ができているかもしれない。進行すると手術が困難になり、命に関わる恐れも。獨協医大病院耳鼻咽喉・頭頸部(とうけいぶ)外科の金谷洋明(かなやひろあき)医師は「2週間以上続く時は耳鼻咽喉科を受診してほしい」と呼び掛ける。8月7日は「鼻の日」。(小林睦美(こばやしむつみ))
金谷医師によると、鼻血や鼻づまりは鼻炎や副鼻腔(びくう)炎(蓄膿(ちくのう)症)による場合が大半だが、頻度は低いものの、腫瘍が見つかるケースがあるという。
腫瘍は良性と悪性に分かれ、いずれも進行すると周りの組織を巻き込み、切除が難しくなる。特に悪性(がん)の場合、肺や肝臓、まれに脳への転移も起こす。
「『そのうち良くなるだろう』と放置し、腫瘍がかなり大きくなって顔が変形したり、目が開かなくなったりして深刻化してから受診する人が多い」と金谷医師。
患者の中には、6〜7センチの腫瘍を切除するため、10時間以上に及ぶ上あごの摘出手術を余儀なくされた高齢の男性もいたそうだ。
鼻に発生する腫瘍はさまざまで、10代でみられることもあるし、高齢者にできることもある。女性より男性に多い傾向があるという。
悪性の場合、腫瘍の進展に伴い、鼻血と鼻づまりは徐々に悪化していくのが特徴。組織が壊死(えし)することで悪臭を伴う、どろっとした茶色い鼻血に変わっていくことが多い。
ごく初期なら内視鏡手術が可能だが、一般的には長期間の治療を要する。抗がん剤などの薬物療法と放射線治療を併用し、外科手術となるからだ。
金谷医師は「耳鼻咽喉科用の内視鏡で鼻の中を見てもらえば、外来でも比較的簡単に診断を受けられる」と説明した上で「たかが鼻血、鼻づまりと油断は禁物。異変に気付いたら、できるだけ早く受診してほしい」と訴えている。
■鼻、耳、のど無料で相談/宇都宮で31日
日本耳鼻咽喉科学会県地方部会は31日午前11時〜午後4時、宇都宮市宮園町の東武宇都宮百貨店4階駐車場入り口で「鼻の日」無料相談を行う。
佐野厚生総合病院の角田真弓{角の異体字}(つのだまゆみ)医師、自治医大の川田和己(かわだかずみ)医師、獨協医大の柏木隆志(かしわぎたかし)医師が鼻、耳、のどに関する相談に応じる。受け付けは午後3時半まで。