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 2001/02/26/ 下野新聞掲載記事

気が付いたら 聴力検査を

独協医科大 深美助手に聞く

子供が「音に反応鈍い」「言葉出ない」

難聴は言語獲得に支障/補聴器で早期治療必要

 「音に対する反応が鈍いようだ」「一歳半になるのに言葉がでない」。子どもを見ていて、このようなことがあったら聴力検査を受けさせた方がいい。聴覚神経に何らかの異常があって聞こえが悪くなる小児感音難聴などで、音の存在を知らずに幼児期を過ごしてしまうと、その後の言語獲得に大きな支障となるからだ。独協医科大耳鼻咽喉科気管食道科の深美悟助手は「新生児期にできる聴力検査法も徐々に普及してきた。早めに補聴器を装着させ、音には意味があることを学ばせるべき」とアドバイスする。三月三日は耳の日。

 内耳から奥に障害

 小児感音難聴は耳の外耳と中耳は正常だが、中耳から伝えられた音波を感じ取る内耳から大脳皮質にかけての神経系のどこかに障害があるために起こる。
 深美助手によると、主な原因は(1)遺伝性難聴(2)胎内での抗生物質などによる薬物中毒(3)母体のウイルス(風疹=ふうしん)感染(4)低体重での出産(5)重症な呼吸器疾患−など。
 目安としては一歳前後で音に対する反応がなく、呼び掛けにも答えないケースや一歳半くらいで意味のある言葉を話さないときには、精密検査を受けるべきだ、という。外耳や中耳に異常がないため「言葉(の獲得)は個人差がある。様子をみましょう」などと診察されて安心してしまうことを深美助手は問題視し「少なくとも二−三歳までに気付いて治療を開始してほしい」と強調する。
 これまで幼児に対する聴力検査は睡眠薬を使用した聴性脳幹反応検査(ABR)が行われてきた。しかし、最近は睡眠薬を使用せずに出産直後から実施可能な新生児用自動ABR検査が県内でも導入されつつある。さらに、小児を遊ばせている間に行う小児聴力検査も開発され、診断法は急速に進歩している。

 公的な訓練施設を

 治療は補聴器の装着。深美助手は「装着をいやがる子どももいますが。一刻も早く、音の存在を知らせて音には意味があることを学ばせる。さらに物に名前があり、単語を覚えて文章につなげるような訓練をするべき」とアドバイス。その訓練に関しては「県内に公的な聴能訓練施設はない。なんとか行政が立ち上げてくれることを期待したい」と話している。

 宇都宮で無料相談

 日本耳鼻咽喉科学会県地方部会は三月三日、宇都宮市宮園町の東武宇都宮百貨店で「耳の日・無料相談会」を開く。
 国立栃木病院、自治医科大、独協医科大の医師が無料で相談を受ける。
 午前十一時から午後四時。四階外商サロン隣。無料。直接会場へ。