日本耳鼻咽喉科学会 栃木県地方部会
 

日本耳鼻咽喉科学会 栃木県地方部会へようこそ

日本耳鼻咽喉科学会 栃木県地方部会

 2004/02/24/ 下野新聞掲載記事

3月3日 「耳の日」

国際医療福祉大言語聴覚センター 熊埜御堂医師に聞く

難聴に欠かせぬ訓練 補装具着装後 定期的に

 新生児の聴覚検査(難聴スクリーニング)で難聴の早期発見が可能になっているが、難聴と診断された後のフォロー体制は確立されていないのが現状だ。大田原市の国際医療福祉大言語聴覚センター(新美成二センター長)の熊埜御堂(くまのみどう)浩医師は「補聴器や人工内耳を付けた後も、言語聴覚士らによる定期的な訓練や検査は欠かせない」と指摘する。三月三日は耳の日。

 難聴と診断されると、早ければ生後六カ月を過ぎたころから、補聴器の装用が検討され始める。二歳以上になると、補聴器でも聞こえない高度難聴の場合は、耳の中の蝸牛(かぎゅう)に電極を埋め込んで聴神経を直接刺激する「人工内耳」の適応が考えられる。
 しかし補聴器や人工内耳などの補装具を着けるだけでは、話し言葉も物音も混在して聞こえるので、意味を理解するまでには至らない。
 そのため「うまく使うための練習」が必要になる。
 特に言葉を学ぶ前の難聴児は、その後の言葉の発達に影響するので、早めの対応が肝心だ。
 幼児に対しては、言葉と物音を聞き分けるための聴能活用、小学生になると、鏡を見て口を動かし発音を学ぶ構音訓練などがある。これらの訓練を行う専門家が言語聴覚士だ。
 訓練の頻度は発達の程度によって変わる。言語聴覚士による訓練と同時に、医師の診察と医学的な検査や評価、発達に合わせた補装具の調整が行われることが理想的だという。
 難聴児に対する対応と同時に重要なのが、家族への支援だ。熊埜御堂医師は「難聴であるということだけで将来が閉ざされるわけではない。言語聴覚士と医師とがともに取り組むことで、言語が発達する可能性は大いにある」と呼び掛けている。
 同大の言語聴覚センターは、言語聴覚士と医師が一体で訓練や検査に当たる、日本でも数少ない専門施設。
 難聴児の親への支援プログラムも実施している。
 言語聴覚士は、聴覚や言語機能などの障害に対する訓練や指導を行う専門家で、一九九七年成立の言語聴覚士法に基づく国家資格。

 ◇「耳の日」無料相談 日本耳鼻咽喉(いんこう)科学会栃木県地方部会は、「耳の日無料相談会」を、三月三日午前十一時から宇都宮市宮園町の東武宇都宮百貨店四階で開催する。
 聴力、めまい、耳鳴り、中耳炎などの耳のトラブルについて、県内の耳鼻咽喉科医師三人が相談に応じる。受け付けは午後三時半まで。直接会場へ。