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 2003/07/30/ 下野新聞掲載記事

8月7日「鼻の日」

足利赤十字病院・佐々木医師に聞く 鼻づまり 新薬で改善

アレルギー、治療の幅広がる 医療機関がデータ収集

 アレルギー性鼻炎の三大症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり。どの症状にも抗ヒスタミン薬が処方されるのが一般的だ。しかし鼻づまりだけは効果が不十分で、ひどい場合は手術が必要になるケースも少なくないが、足利赤十字病院耳鼻咽喉(いんこう)科の佐々木俊一部長は「比較的新しい薬剤で、鼻づまりが改善される例が増えている」と、新たな薬物治療に注目する。八月七日は「鼻の日」。

 鼻づまりは、鼻粘膜が腫れることで起きる症状。呼吸に影響し、不眠やいびき、睡眠時無呼吸症候群などの原因にもなることから、くしゃみ・鼻水と比べ、より深刻といえる。
 手術をしても、五年以内に再発する場合もある。スプレー式の点鼻薬も即効性はあるものの、多用すると効果が薄れて、「逆に鼻粘膜が腫れてしまうこともある」などの難点がある。
 一方、投薬治療は「用量を守れば多用する心配もなく、再発を回避できる」のが利点だ。
 従来の抗ヒスタミン薬とは別に、鼻づまりの効果の高い治療薬として「プランルカスト水和物」(カプセル錠)が一九九五年に、国内で初めて承認された。鼻づまりの原因物質の一つ、ロイコトリエンに働き掛け、鼻粘膜の炎症を抑える。
 佐々木部長によると、鼻づまりがひどく、かかりつけの医師に手術を勧められた男性がプランルカスト水和物を服用後、二週間ほどで鼻粘膜の腫れがきれいにひき、手術をしないで済んだ例があるという。
 現在は、カプセル錠に続き、小さな子どもも服用できるドライシロップ薬の臨床治験も始まった。二〇〇〇年には、ラマトロバンという別の種類の鼻づまり治療薬も発売され、薬物治療の選択肢が広がっている。
 ただし、プランルカスト水和物を含む新薬は、効果が表れるまでに早くても二−四週間はかかり、効き目も個人差がある。また、価格は抗ヒスタミン薬の約二倍と高い。
 このため今のところは、従来の抗ヒスタミン薬をベースに、必要に応じてプランルカストを追加する方法で治療が進められているという。
 「最短で最良の投薬パターンを見極めるのが今後の課題」といい、現在、佐々木部長を中心に、足利市内の複数の医療機関でデータ収集を行っている。

 ■来月、宇都宮で医師が無料相談

 日本耳鼻咽喉科学会栃木県地方部会は「鼻の日無料相談会」を八月七日、宇都宮市宮園町の東武宇都宮百貨店四階で開く。受付時間は午前十一時から午後三時半まで。
 同支部の耳鼻咽喉科医師三人が、鼻に関する相談に応じる。予約不要。直接会場へ。