日本耳鼻咽喉科学会 栃木県地方部会
 

日本耳鼻咽喉科学会 栃木県地方部会へようこそ

日本耳鼻咽喉科学会 栃木県地方部会

 2003/02/26/ 下野新聞掲載記事

広まる新生児聴覚検査 自治医大・高野澤医師に聞く

難聴を早期発見言葉の遅れ防ぐ 3月3日に「耳の日」相談

 生後間もない段階で聴覚障害の有無を調べる新生児聴覚検査が広まっている。早期に対応すれば、言葉の遅れも防げると期待されているためだ。厚生労働省は現在、本県を含む八都道県でモデル事業を実施中で、県内では自治医大と独協医大の二カ所が指定されている。自治医大耳鼻咽喉(いんこう)科の高野澤美奈子医師に、聴覚検査の意義を聞いた。三月三日は耳の日。
 中等度以上の両耳聴覚障害は千人に一人とされる。言語の習得には、言葉を聞き、それに意味があることを学ぶ必要があるが、音が聞こえなければ言葉も話せなくなる。言葉の遅れは知能の発達にも影響するため「聞くということはとても重要なこと」と強調する。
 新生児聴覚検査は県内ではモデル事業以外に、小児科や産婦人科で自主的に行っている場合がある。検査方法は自動聴性脳幹反応検査(AABR)、または耳音響反射(OAE)がある。うちAABRは比較的短時間で音に反応する脳波を調べられる方法で、約五年前に国内に導入され、広まっているという。
 初めの検査は生後一週間以内に実施されるのが一般的。ここで聴覚障害の反応が出た場合、聴性脳幹反応検査(ABR)などによる精密検査を行う。なお難聴が疑われる場合は、乳幼児聴力検査などを組み合わせて総合的に判断し、生後三−六カ月で補聴器を装用できるようにする。
 一般的に、子どもは二歳ごろに言葉の意味を理解し始め、三歳で約七百語を覚える。聴覚障害でも生後六カ月から補聴器を付ければ、三歳までに三百−四百語を話せるようになるとされる。
 しかし発見が遅れ二歳すぎに対応すると、三歳で覚えるのは二十−三十語程度と激減する。「生まれてから二年間というと意外と短いもの。その間に発見できるかどうかが、将来に大きく影響します」
 また、聴覚障害を発見した後の治療は「子ども本人だけでなく、家族への心理カウンセリングなども含め支援する体制を整える必要がある」と高野澤医師は指摘している。
 ◇ ◇
 日本耳鼻咽喉科学会県地方部会は「耳の日無料相談」を三月三日午前十一時から午後四時まで、宇都宮市保健センター(ロビンソン百貨店宇都宮九階)で実施する。
 耳に関する病気や悩み、不安について、医師三人が相談に応じる。直接会場へ。