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 2007/08/04/ 下野新聞掲載記事

8月7日は「鼻の日」

ガス漏れ、腐臭など気付かず… 

嗅覚障害 日常生活に支障 原因治療で症状改善も

自治医大 石川敏夫医師に聞く

 七日は「鼻の日」。においを感じられない嗅覚(きゅうかく)障害になると、ガス漏れや腐った食品などに気付かず、安心して生活できない。また花や料理などの香りを楽しむこともできない。しかし障害があっても、原因を治療すれば再びにおい、香りをかげるようになる可能性がある。自治医大耳鼻咽喉(いんこう)科学教室の石川敏夫医師(42)は「嗅覚障害は日常生活に支障を与える」と注意を呼び掛ける。

 においのもととなる物質は二十万種類とも四十万種類ともいわれる。これが鼻の穴の内側上方にある嗅上皮にたどり着くと、嗅細胞の嗅覚受容体と結び付く。その情報が嗅神経、嗅球を通じて脳に伝えられる。

 ▽4つの類型

 嗅覚障害は、においのもととなる物質が嗅上皮までたどり着かない「呼吸性」、嗅上皮が炎症などを起こす「嗅粘膜性」、嗅神経がウイルスに冒されることなどによる「末梢(まっしょう)神経性」、頭部外傷や脳腫瘍(しゅよう)などによる「中枢性」がある。
 「呼吸性」は慢性副鼻腔(びくう)炎(ちくのう症)、アレルギー性鼻炎、左右の鼻の穴を隔てる鼻中隔のわん曲症などが原因となる。ウイルス性の風邪(感冒)などは「嗅粘膜性」「末梢神経性」につながることがある。
 治療にはまず、鼻鏡、内視鏡や副鼻腔X線検査、アレルギー検査などにより、原因となっている疾患を突き止めることが必要だ。障害の程度は、バラの香り、汗臭さなど五種類のにおいで、感じる度合いを測る基準嗅力検査などで判定する。

 ▽基準嗅力検査など

 「呼吸性」の場合、多くが原因疾患を治療することで障害が改善する。服薬など保存的治療のほか、副鼻腔の手術や鼻中隔の矯正など手術的治療法もある。
 「嗅粘膜性」ではステロイド薬の点鼻治療を行う。漢方薬が有効との報告もある。「末梢神経性」「中枢性」は治りにくい。

 ▽ひどくなる前に

 石川医師は「嗅覚障害は慢性副鼻腔炎と感冒が原因の過半数」と話す。治療できる場合も多いが「嗅覚障害になっても、かなりひどくなってから医療機関に来る人が多い」と指摘し、まずは専門の医療機関の受診を勧めている。
 ◇ ◇

■専門医が無料相談会/あす宇都宮で

 日本耳鼻咽喉科学会県地方部会は五日、宇都宮市宮園町の東武宇都宮百貨店四階特設会場で「鼻の日」無料相談会を行う。
 同部会の専門医三人が鼻はもちろん耳、のどの相談に応じる。午前十一時から午後四時まで。相談の希望者は直接会場へ。