日本耳鼻咽喉科学会 栃木県地方部会
 

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 2008/02/23/ 下野新聞掲載記事

小児難聴/早期発見に有効

小さな音聞かせ反応チェック/新生児聴覚スクリーニング

 三月三日は「耳の日」。小児難聴は新生児千人に一人程度という比較的高い割合で現れるが、見過ごされることも少なくない。見過ごすと、言葉の遅れをはじめ子どものさまざまな発達に影響を及ぼす。済生会宇都宮病院耳鼻咽喉(いんこう)科診療科長の新田清一医師は「難聴発見には新生児聴覚スクリーニングを受けるのが望ましい。早期発見は早期療育につながる」と呼び掛ける。

 小児難聴は中等度も含めると、さらに高い割合で現れるとされる。先天性の高度難聴の場合、「半分は遺伝性、残りの半分は妊娠中の感染など原因のあるものと原因不明のもの」という。
 早期発見には乳幼児健診を受けるのはもちろんだが、産科で新生児聴覚スクリーニング(ふるい分け)を受けるのが有効だ。「県内では産科のおよそ五、六割で行っている」。新生児に小さな音を聞かせ、脳波などの反応をチェックする。
 産科が対応していなかったり、スクリーニングで要再検査になった場合、小児難聴の専門的な検査ができる医療機関に相談するのが望ましい。県内では済生会宇都宮病院、自治医大病院、獨協医大病院、国際医療福祉大学クリニック、足利赤十字病院の五カ所が対応している。
 また家族など周囲の気付きも早期発見につながる。ゼロカ月児であれば「突然の音にビクッとする」、四カ月では「名を呼ぶとゆっくりではあるが顔を向ける」、六カ月では「声を掛けると意図的にサッと振り向く」など、月齢に応じて反応をチェックする。
 小児難聴は早期発見、治療して療育を始めれば、言葉の遅れもなく健常児と同じように生活できることもある。治療は補聴器を装用したり、それでも効果がない場合、一歳半以上であれば手術により人工内耳を装用して訓練することもある。
 新田医師は「療育には医療機関だけでなく教育機関、家庭の連携と協力が不可欠です」と話す。難聴が疑われる場合、五医療機関のほか、県立聾(ろう)学校の早期教育相談室電話028・622・3910への相談を勧めている。

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 日本耳鼻咽喉科学会県地方部会は三月二日、東武宇都宮百貨店四階特設会場で「耳の日無料相談会」を開く。
 獨協医大病院、足利赤十字病院、自治医大病院の耳鼻咽喉科医、計三人が、耳はもちろん鼻、のどなどの相談に応じる。
 午前十一時から午後四時まで。希望者は直接会場へ。