日本耳鼻咽喉科学会 栃木県地方部会
 

日本耳鼻咽喉科学会 栃木県地方部会へようこそ

日本耳鼻咽喉科学会 栃木県地方部会

 2009/02/28/ 下野新聞掲載記事

中耳炎さまざま異なる治療法/来月3日は「耳の日」
注意点/石川医師(自治医大)に聞く

 三月三日は「耳の日」。中耳炎といえば身近な耳の病気の一つだが、中耳炎の中にもさまざまな病気があり、治療法も異なることはあまり知られていない。自治医大耳鼻咽喉(いんこう)科講師の石川浩太郎(いしかわこうたろう)医師にそれぞれの中耳炎の違い、注意点を聞いた。


 「子どもが急に耳の痛みを訴える」というイメージが強いが、それは急性中耳炎。多くは鼻風邪などがきっかけで、鼻から耳へ細菌が入るのが原因となる。

 「例えば夜中に痛み出しても慌てず、まずは痛みを取ることを優先すべきです。その後、身近な耳鼻科を受診しましょう」。氷枕で耳を冷やしたり、薬のアレルギーがない人は解熱鎮痛剤を飲んだりすれば、痛みを和らげられる。

 耳鼻科では抗生物質を使ったり、鼓膜切開などをして治療する。急性を繰り返す場合、抗生物質が効きにくい細菌による可能性があるため注意が必要だ。

 ほかに中耳に液体がたまる滲出(しんしゅつ)性、鼓膜に小さな穴が開いている慢性、鼓膜が中耳の壁面にへばり付いてしまう癒着性、白い塊を作る真珠腫性などがある。気をつけたいのは、いずれも必ずしも痛みがないことだ。

 「子どものころから急性中耳炎を繰り返し、耳だれや聞こえが悪いなどの症状がある場合はこれらの中耳炎が疑われます。痛みはなくてもこうした症状がある人、呼び掛けに返事がなかったり聞き返しが多い子どもは、放置せずに近くの耳鼻科医に相談しましょう」

 滲出性は子ども、高齢者に多く、鼻の病気を伴っている場合が多い。鼻の治療も必要なため、治療は長期になる。大人で滲出性の症状が長く続く場合、上咽頭(いんとう)がんの恐れもある。

 慢性、癒着性、真珠腫性は鼓膜の穴、真珠腫などの原因を取り除く手術を行う。真珠腫性は周囲の骨、神経を壊すため、めまいや味覚障害、顔面神経まひなどが出ることがある。痛みがなくても、放置するのは禁物だ。

 中耳炎はプールなどで耳の穴から水が入ることでなく、鼻から細菌が入り込むことが原因。「鼻風邪や鼻炎のとき、きちんと鼻をかむことが予防策の一つ。鼻すすりは良くありません」

 ◇ ◇

 日本耳鼻咽喉(いんこう)科学会県地方支部は3月1日、東武宇都宮百貨店4階特設会場で「耳の日」無料相談会を開く。

 自治医大病院、獨協医大病院、国立病院機構(NHO)栃木病院の耳鼻咽喉科医3人が、耳はもちろん鼻、のどについての相談に応じる。

 午前11時から午後4時まで。希望者は直接会場へ。