
2009/08/01/ 下野新聞掲載記事
鼻の日(8月7日)/アレルギー性鼻炎/看過せず治療を/
NHO栃木病院田代医長に聞く
今や日本人の3人に1人が持つとされるアレルギー性鼻炎。くしゃみ、鼻水、鼻づまりの3大症状に悩む人は増えている。スギやヒノキといった植物の花粉が原因の季節性アレルギーに、ダニやハウスダストなどを原因とする通年性の鼻炎を合併し、症状が持続・重症化するケースもある。8月7日は「鼻の日」。国立病院機構(NHO)栃木病院耳鼻咽喉(じびいんこう)科の田代昌継(たしろまさつぐ)医長に、アレルギー性鼻炎増加の背景や注意点などについて聞いた。(若林真佐子・わかばやしまさこ)
田代医長によると、アレルギー性鼻炎は10年前に比べ約10%増加。中でも、本県の有病率は全国8位と高い。スギ花粉症に限ると3位で、全国でも有数の有病率を持つ。ダニやハウスダストによる通年性のアレルギー性鼻炎も年々増え、低年齢化している。
気温、湿度とも上昇する夏は、ダニの繁殖シーズン。特に日当たりや通気性の悪い部屋は、ダニの温床になる。また「昔の家屋に比べて、今はマンションなど機密性の高い集合住宅に住む人が増えた。アレルギー性鼻炎の増加は、こうした住宅環境の変化によるものも大きい」と、田代医長は指摘する。
農業県でもある本県ではこの時季、「イネ科植物の花粉症」も見られる。地域差はあるがスギ、ヒノキによる花粉症が終わった後の5〜7月ごろに始まり、9〜10月ごろまで続く。スギ、ヒノキの時季が終わっても症状が続く場合は、イネ科の花粉症との合併にも注意する必要がある。
現在、アレルギー性鼻炎の治療法は、抗アレルギー剤やステロイド剤を中心とした薬物療法(内服・外用)が中心。レーザーによって局所(鼻腔(びくう)の粘膜)を焼灼(しょうしゃく)するレーザー治療もあるが、あくまでも鼻の通りを一定期間良くする対症療法。季節性のものに対し一定の効果は得られるが、アレルギー性鼻炎自体の根本的な治療ではない。
くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの影響で集中力が下がったり、熟睡できないなど日常生活に支障をきたすこともあり、看過は危険。半面、症状を抑えようと薬を多用すると、副作用で強い眠気などを引き起こす場合もある。
田代医長は「現在のところ根治は難しく、一生の付き合い。自分に合った対処の仕方を知るためにも、医師の診断を受け治療してほしい」と呼び掛けている。
■あす無料相談
日本耳鼻咽喉(じびいんこう)科学会県地方部会は2日午前11時から、東武宇都宮百貨店4階特設会場で「鼻の日」の無料相談を行う。
同部会の専門医3人が、鼻に加え耳、のどについても相談に応じる。希望者は直接会場へ。午後4時まで(受け付け締め切りは同3時半)。