
2011/07/29/ 下野新聞掲載記事
8月7日は鼻の日
獨協医大・森医師に聞く
広がる内視鏡手術のナビ
的確に患部へ、安全性向上
鼻の中の難しい内視鏡手術で、より確実に内視鏡を患部へと誘導する「ナビゲーションシステム」の利用が広がっている。目や頭に近い危険な部位の手術の安全性が高まり、合併症などのリスクも抑えられるという。8月7日は鼻の日。獨協医大耳鼻咽喉(いんこう)・頭頸(けい)部外科の森文(もりあや)医師に聞いた。
ナビゲーションを使う主な手術は、両目の間やほおなど鼻周辺の骨の空洞に細菌感染などから炎症が起きる「副鼻腔(ふくびくう)炎」、上あごのあたりに袋状にうみがたまる「術後性上顎嚢胞(のうほう)」や「脳下垂体腫瘍」。副鼻腔炎では、再発例や、ぜんそくがあり鼻の中の炎症が強く出血量が多いなど、難しいケースに適用する。
獨協医大病院では2007年6月から、先進医療としてナビゲーションを導入。当時は高額医療で患者の自己負担は約7万円だったが、現在は保険適用となり、昨年は約50件の手術を行った。
ナビゲーションで手術を行う際は、前日にCTで撮影した顔の前面、横、水平と3パターンのCT画像を使用。鼻の中に内視鏡を入れ、分かりづらい部分を「ポインター」と呼ばれる専用器具で指すと、三つの画像にどの部分を指しているかが映し出される仕組みだ。患部や危険な場所がピンポイントで分かるため、安全かつ高度な手術操作が可能になる。
森医師は「例えば目に近い部位の手術では、眼球運動障害や視力障害など合併症のリスクがあるが、それを抑えられる」と説明する。
また、脳下垂体腫瘍では、以前は頭部を開いての手術だったが、鼻の中からアプローチできるようになり、患者の負担が大幅に減ったという。
最近は、副鼻腔炎自体は増えていないものの、ぜんそく合併型の副鼻腔炎が増えており、ナビゲーションの有用性が高まっている。
[写真説明]ナビゲーションシステムを使い、鼻の中をポインターでさす(右下)と、3パターンのCT画像に場所が映し出される
■宇都宮で31日無料相談会
日本耳鼻咽喉科学会県地方部会は31日、東武宇都宮百貨店4階特設会場で「鼻の日」の無料相談を行う。同部会の専門医3人が、鼻に加え耳やのどの相談に応じる。希望者は直接会場へ。午前11時から午後4時(午後3時半受け付け終了)。