
2013/08/02/ 下野新聞掲載記事
8月7日は「鼻の日」
鼻詰まり まず受診を
獨協医大・吉田医師
安易な市販薬使用は禁物
生活の質を著しく下げる鼻詰まり。「命に関わらないから」と我慢してしまうことも多いが、獨協医大耳鼻咽喉科・頭頸部(けいぶ)外科の吉田拓人(よしだたくと)医師は「嗅覚低下にもつながるので、治す努力を」と呼び掛ける。ただし、市販薬の安易な使用は禁物。きちんと医師に相談したい。8月7日は鼻の日。
鼻詰まりは、主に空気の通り道が物理的にふさがることで起きる。原因としては、鼻自体が曲がっている「鼻中隔彎曲(わんきょく)症」、慢性副鼻腔(ふくびくう)炎による「鼻ポリープ(鼻たけ)」、「アレルギー性鼻炎」、「鼻腔腫瘍」が挙げられる。
子どもの場合は、鼻の穴とのどの突き当たりにあるアデノイドの肥大が原因であるケースも多いという。
鼻詰まりの最大の弊害は、においが分からなくなること。「鼻に空気が通らない時間が長引くと、においを感じる嗅神経に刺激が入らず、嗅覚が低下してしまう」と吉田医師。
また、口呼吸がメーンとなるため、睡眠時にいびきをかきやすくなったり、睡眠時無呼吸症候群になったりする。夜の眠りが十分に取れないと、日中の集中力低下にもつながる。
そのため、早めの対処が必要だが、吉田医師は「病院に行かずに市販薬を安易に使うのは避けてほしい」と強調する。
血管収縮薬の入った点鼻スプレーは、粘膜を収縮させる。空気の通り道が広がって鼻詰まりは解消するが、時間がたてば元に戻る。これを繰り返すと、粘膜が薬に反応しなくなり、いずれは粘膜内の血管が常に拡張した鼻詰まりの状態になってしまう。やはり、一度受診した方がよさそうだ。
治療法は、原因によってさまざま。アレルギー性であれば、原因物質を減らした上で、抗アレルギー薬を使うのが一般的。状態によっては、アレルギー反応が起きる場所を減らす手術が必要になる場合もあるという。
鼻中隔彎曲症、ポリープ、腫瘍の場合、根治するには手術しかない。手術が必要かどうかの判断は医師との相談が必要だが、吉田医師は「今は昔に比べると患者の負担は格段に減り、根治性も上がっている。つらい症状をずっと抱えている人には手術を勧めたい」と話している。
■11日に無料相談/宇都宮
日本耳鼻咽喉科学会県地方部会は11日午前11時〜午後4時、宇都宮市宮園町の東武宇都宮百貨店4階駐車場入り口で「鼻の日」無料相談を行う。
相談医は、国立病院機構栃木医療センターの石川徹(いしかわとおる)医師、自治医大の今吉正一郎(いまよししょういちろう)医師、獨協医大の細川悠(ほそかわゆう)医師。
無料。受け付けは午後3時半まで。