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 2014/08/01/ 下野新聞掲載記事

寝苦しさの一因 鼻詰まりかも「8月7日は鼻の日」
狭い気道 呼吸不安定に
「熟眠感なければ受診を」

 夏の夜はただでさえ寝苦しいが、寝苦しさの原因は暑さだけではなく鼻の不調にもあるかもしれない。鼻閉(鼻詰まり)に伴う不安定な呼吸は睡眠障害を招くからだ。獨協医大耳鼻咽喉・頭頚部(けいぶ)外科講師の中島逸男(なかじまいつお)医師は「『たかが鼻詰まり』と軽く見ることなく、気になったら耳鼻科を受診してほしい」と呼び掛ける。8月7日は鼻の日。(荻原恵美子(おぎわらえみこ))

 鼻は、のど、気管、気管支、肺に流れる空気の出入り口。中島医師は「鼻の通りが悪いと鼻の奥で圧の格差が起きる。空気の通り道が狭まるため、不安定な呼吸の要因になってしまう」とメカニズムを説明する。

 鼻が詰まるとおのずと口で呼吸することになるが、この口呼吸も睡眠障害の一因。口を開けると舌や舌根(舌の後方部)が奥に落ちる形になるためだ。睡眠中のあおむけ姿勢は、重力の関係で特に気道が狭くなるという。

 鼻呼吸から口呼吸に切り替わること自体も無意識の覚醒反応を来すとされており、「鼻で呼吸できないなら、口で呼吸すればいい」という単純な話ではなさそうだ。

 難しいのは、睡眠中の自分の鼻の状態はなかなか認識しにくいこと。中島医師は「いつも鼻が詰まった感じがあり、適切な睡眠時間を取ったにもかかわらず起床時に熟眠感がないと思ったら、受診のタイミングだろう」と勧める。

 鼻の通りの状態は、「鼻腔(びくう)通気度検査」で分かる。安静呼吸した状態の吸気時の秒速抵抗値を専用測定器で測る方法で、「総合抵抗値が1立方センチメートル当たり0・75パスカル以上」が高度鼻閉状態とされる。ほとんどの耳鼻科で測定することができる。

 鼻詰まり状態であることが分かれば、原因に応じて治療に進むことになる。アレルギーや副鼻腔炎であれば、薬などで症状を抑える。鼻中隔彎曲(わんきょく)など鼻の形態に問題があれば、程度によっては手術を行うこともある。

 統計的には人口の2〜4%いるとされる睡眠時の無呼吸患者。中島医師は「ストレスや疲れなど心因性のものも含まれるが、鼻が原因となっている場合も多いはず。鼻の大切さを再認識してほしい」と話している。

 

■鼻の相談 どうぞ/10日に宇都宮

 日本耳鼻咽喉科学会県地方部会は10日午前11時〜午後4時、宇都宮市宮園町の東武宇都宮百貨店4階駐車場入り口で「鼻の日」無料相談を行う。

 足利赤十字病院の佐々木俊一(ささきしゅんいち)医師、自治医大の菊池恒(きくちひさし)医師、獨協医大の常見泰弘(つねみやすひろ)医師が相談に応じる。無料。受け付けは午後3時半まで。