
「耳の日」/獨協医大・阿久津医師に聞く
花粉症 よく知り治療を
市販薬服用は成分を見て
重症なら耳鼻科受診を
スギやヒノキの花粉が飛散する季節になると、鼻づまりやくしゃみなどの症状を引き起こし、重度の場合は生活にも影響を及ぼす花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)。薬は薬局などでも購入できるため、医療機関を受診せずに治療をする人も少なくないが、全く違う病気の影響で鼻づまりなどの症状が悪化していることもある。獨協医大耳鼻咽喉・頭頸部(けいぶ)外科の阿久津誠(あくつまこと)医師(33)に、花粉症の症状が出る仕組みや市販薬を服用する際の注意点などを聞いた。8月7日は「鼻の日」。(飯田ちはる(いいだちはる)
空気中に浮遊している花粉などの抗原(アレルゲン)が体内に入ると「IgE」という抗体が作られ、免疫細胞に結合する。その後、再び抗原が体内に入ると、免疫細胞からアレルギー誘発物質である「ヒスタミン」が作られ、鼻の知覚神経や血管などに作用し、くしゃみや鼻づまりを引き起こす。
風邪との違いは発熱や喉の痛みがないこと。鼻水は花粉症の場合、透明で水っぽく、いわゆる「水っぱな」なのが特徴だ。今年はスギの飛散量が少なかったものの、新型コロナウイルス感染拡大の影響でマスク不足に悩む患者が多かったという。
市販薬を服用する場合は、含まれている成分をよく見ることが大切。例えば、血管収縮薬が入った点鼻薬は1〜2週間に限って用いることが推奨されている。常用すると薬剤性鼻炎を引き起こし、鼻づまりが悪化してしまう可能性もあるため、使用期間には注意が必要だ。
眠気を引き起こしにくいと記載がある飲み薬でも、副作用の出方は人それぞれ。飲む時間帯や種類には注意しよう。市販薬の服用に不安な点がある場合は、薬剤師や耳鼻科の医師に相談するのがお勧め。
市販薬を飲んでも一向に症状が改善されない、長年重度の症状に悩まされているといった場合も、医療機関を受診する方がよい。鼻空間を左右に分ける鼻中隔(びちゅうかく)が湾曲し歪(ゆが)んでいる「鼻中隔弯曲症」や、鼻の中にポリープがある「慢性副鼻腔(びくう)炎」を発症している場合は、花粉症の治療だけでは症状が改善しない可能性もある。外見から分からず鼻の中を観察する必要があるため、内科ではなく耳鼻科を受診することが重要だ。
阿久津医師は「ただの花粉症と甘く考えていると、実際は違う病気が隠れている場合もある。市販薬が多く販売されているが、症状で気になることがあればぜひ近くの耳鼻科に足を運んでほしい」と呼び掛けている。