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 2010/07/31/ 下野新聞掲載記事

獨協医大後藤助教に聞く

8月7日は「鼻の日」

冷えなどが誘発 血管運動性鼻炎

アレルギー性と似た症状

 暑い外気の場所から冷房の効いた室内に入った際に受ける寒冷刺激や、たばこの煙などの刺激で誘発される鼻水。このような、症状はアレルギー性鼻炎と似ているものの、スギ花粉やダニの抗体を持たない人の場合、血管運動性鼻炎が疑われる。8月7日は鼻の日。獨協医大耳鼻咽喉(いんこう)・頭頸部(けいぶ)外科の後藤一貴(ごとうかずたか)助教は「原因は不明だが、ほかの病気が隠れていたり、基礎疾患と関係していることはない。生活の質を上げるため、第一世代の薬の処方が有効」と話す。

 血管運動性鼻炎は、アレルギー検査が陰性で、かつ、非アレルギー性の好酸球増多性鼻炎の原因となる鼻汁中好酸球も陰性の際に診断される。寒冷など外気温の変化、たばこの煙のほか、ごはんの湯気などの刺激が引き金になって起こる場合がある。冷え込んだ夏の夜の翌朝に症状が出る人も多い。
 アレルギー性鼻炎が、鼻のかゆみ・くしゃみ、水性鼻汁(鼻水)、鼻閉(鼻づまり)の3大症状を有するのに対し、血管運動性鼻炎は鼻水のみの場合が多く、発症は40代以上の男性に顕著という。症状は、数分から数時間で治まる。
 原因は、これまで副交感神経が関係しているとされてきたが、近年その説は否定され、今では原因不明とされている。ただし、ほかの重大な病気の前兆だったり、基礎疾患との因果関係はないという。
 治療には、自律神経に効く抗コリン成分を含む抗ヒスタミン薬が有効だ。これはアレルギー性鼻炎などで現在広く使われている第二世代ではなく、第一世代の抗ヒスタミン薬にあたる。
 後藤助教は「血管運動性鼻炎の症例は、アレルギー性と比べて100人に1人いるかいないかの程度。季節を問わないが、見かけ上はクーラーを使う夏に増える。予防には、体を冷やさないなどの対策も大切だ」と話した。